基本的にはポピュラー・ミュージックには、決められた歌唱法はありません。
ですので歌う本人が「これがいい」と思える歌い方で良いのですが、
ゴスペルという音楽がメッセージを伝えるという役割を持っている以上は、
万人が聴いて、自然に耳を傾けてくれる魅力があるほうが、たくさんの人に届きます。

言葉を選ばずに、わかりやすく言えば、へたくそな歌は身内しか喜んでくれないけど、
かっこいい歌は、知らない人の心にも入りやすいということです。

ここでは、ゴスペルの本来のあり方を問うのではなく、メッセージを遠くまで届ける
手段としてのクオリティを追求する目的と、入場料を取るステージでの最低限の責任を、
持ちたいと考えるパフォーマーのために、歌唱法の資料を用意しました。

基礎的練習によって安定した土台を築き、幅広い臨機応変な表現力によって、
自分らしさを思う存分追及してください。

目次

1. 声楽的発声法 ・・・ いわゆるベーシックな発声法です。これによって作られた声はあくまで土台です。
               よくヴォイス・トレーニングで習った声で、そのまま歌う人を見かけますが、
               「ええ声」と「歌声」は基本的に違います。
               料理で言えば何の味付けもしていない原材料といったところでしょうか?
               しかしきちんとした呼吸法などができていない歌も、コントロールが効かず、
               好き勝手に歌っている割に、制約が多い事も事実です。
               ですので基礎的発声法をマスターし、コントロールできる幅を広げてから、
               個性を最大限に生かすことを心がけて欲しいと思います。